株の信用取引はやめておけ!プロの投資家が止める理由

株の信用取引はやめておけ!プロの投資家が止める理由

投資のプロほど「株の信用取引はやめておけ」と言います。株の信用取引とは、証券会社にお金や株を借りて取引することです。自己資金以上の取引ができるため、多きな利益を生む反面、大きな損失を出してしまうリスクもあります。この記事では信用取引のメリット2つ、デメリット6つを解説し、信用取引について初心者向けに丁寧に解説します。



株の信用取引をするメリット2つ

株の信用取引とは、証券会社からお金や株を借りて売買ができるシステムです。信用取引をするメリットは以下の2つになります。

①少ない資金で稼ぐ「レバレッジ」

株の信用取引では、保証金を入れれば自己資金の約3.3倍の取引が可能です。これを「レバレッジ」といいます。このため少ない資金でも大きく稼げる可能性があります。

②「空売り」ができる

現物取引とよばれる通常の株式売買では、自分の持っている株しか取引できません。しかし信用取引では証券会社から株を借りて「売ってから買う」ことができます。これが「空売り」です。

たとえばA株(時価100万円)が80万円ぐらいまで値下がりしそうなら、まずは証券会社からA株を借りて100万円で売り、その後80万円に値下がりしたところで買い戻し、証券会社にA株を返します。売買の差額20万円が生まれますが、これが自分の利益になります。

株の信用取引のデメリット6つ

ここからは信用取引のリスクをくわしく説明します。「株の信用取引はやめとけ」と言われるのは、信用取引は「借金(借株)」×「株式投資」のダブルリスクをとるからです。

① 自己資金以上の大損リスク

信用取引では自己資金の約3.3倍まで取引をすることができるため、大きな利益も期待できますが、その反面、大きな損失を出す可能性もあります。

信用取引には「約定日から6ヶ月目に決済する」というルールがあります。このため自分が大損をするとわかっていても、期日が来れば損益を確定しなくてはならないのです。長期保有して気長に値上がりを待つことはできません。

相場次第では自分の許容できる以上の損失を出してしまうので、ハイリスク、ハイリターンといえます。

②「追証地獄」という負のループ

信用取引には、証券会社ごとに決められた「保証金維持率」があります。これは取引額に対して一定割合(およそ30%程度)の委託保証金(保証金)を入れることです。

株価が下落すると保証金維持率を割り込むケースがあるため、追加で保証金を支払わないと継続して取引ができなくなります。これを「追加証拠金」略して「追証(おいしょう)」といいます。

評価損が膨らむ場合は、一度で済まず、何度も追証が必要となります。保証金支払いが増えていく負のループから抜け出せなくなってしまうことを「追証地獄」と呼ぶひともいます。

追証が発生するケース①株が保証金代わり

「あれ?株価が下落したら、所有する株式の時価総額が小さくなるのだから、自己資金である保証金維持率は上がるのではないの?」と思った方。その通りです。信用取引の委託保証金が現金の場合には追証はありません。追証が発生するのは、現金ではなく「株」を保証金代わりにしている場合です。

追証が発生するケース②未決済の信用取引株が含み損を抱えた

信用取引で売買し、まだ決済が済んでいない株式を「買い建玉」「売り建玉」と呼びますが、これらの評価額が下がって含み損が出ると、その含み損ぶんが保証金からバッサリと引かれてしまい、保証金維持率を割り込みます。これは信用取引をする誰にでも起こりうる事態です。

信用取引はもともと自己資金以上のレバレッジをかけていますから、求められる保証金の金額もそれにともなって大きくなりがちです。

一度発生した追証は消えない

一度でも追証が発生すると、その後株価が回復して保証金維持率が30%まで回復しても、追証は支払わなければなりません。

なんだか証券会社に都合のいい取り立て制度ですが、そもそも借金で取引しているのですから、仕方ないのかもしれませんね…?

③「空売り」のリスク

信用取引では株価下落局面に利益を出す手法「空売り」が可能です。「空売り」は自分が持っていない株を証券会社から借りて売る仕組みです。

ところが市況を読み間違えて、株価が上がった場合には高い価格で同じ株を買い戻して、証券会社に返さなくてはいけません。このため損をします。

空売りは株価の下落局面をみきわめて売買タイミングを的確に判断できる上級者のもの。初心者にはリスクが高すぎます。

④信用取引だけにかかるコスト

じつは信用取引にだけかかるコストも2つあります。

  • 買方金利:「買い」のときに発生します。「買い」では証券会社にお金を借りて買うため、借りたお金につく金利です。
  • 貸株料:「売り」のときに発生します。「売り」では証券会社に株を借りて売るため、借りた株に発生するレンタル料です。

信用取引はあくまで証券会社に「借りて」取引をしていることを忘れてはいけません。

⑤現物取引と異なる配当

配当がもらえる権利付最終日(株主権利が得られる日)に信用取引の株を持っているとします。 じっさいに株を所有しているのは証券会社ですので、信用取引をしているひとに「配当」はありません。代わりに「配当落調整金」と呼ばれる調整金があります。

信用取引で買った株

配当金から所得税が源泉徴収された金額を証券会社からもらえます

信用取引で売った株

配当金から所得税が源泉徴収された金額を証券会社に支払わなければなりません

⑥信用取引はストレス…

信用取引は成功のリターンも失敗のリスクも通常の現物取引より大きいため、かなりのストレスになります。値動きが気になり仕事が手に付かず、トイレにこもってチャートをみてしまうという声も珍しくありません。これも足を踏み入れる前に覚えておきたいポイントです。



信用取引の前に学ぶべきこと

「株の信用取引はやめとけ」とよく言われますが「株の基礎知識がない人が安易に手を出すな」という意味です。初心者の株式投資の場合、長期保有しながら配当金をもらったり、株主優待をもらったりすることのメリットを最初に覚えてください。

いったん信用取引をスタートしてしまうと、初心者は精神的に追い込まれがちです。まずは株式投資の基礎知識を身に付けましょう。

  • 相場に踊らされない知見
  • 売買タイミングの判断力
  • 銘柄を選ぶ明確な判断基準
  • 信用取引のリスクについて→この記事を読みましたね!

株式投資の知識とテクニックをしっかり身に付ければ、あらたな収入の柱が生まれて、豊かな将来を手に入れる可能性が生まれます。

株式市場では一時的に株価が下がっても、いつかは上がるタイミングがきます。損をする株価でも売却しなければ「含み損」といわれる状態となり、損は確定されません。

現物取引なら、含み損のある株も長期保有して(塩漬けといいます)、焦らず気長に待つうちにだんだんと株価が回復することがほとんどです。株式投資を恐れるのではなく、まずは自分のお金に関する力を磨きたいですね。



この記事の執筆者

林 晶

林 晶

人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして数百名の仕事の悩みを聞いた経験を持つ。子育てを経てキャリアライターに。得意なライティング分野は、ベンチャー業界、不動産投資、外資系の働き方、子育てとキャリアなど。趣味は自転車で神楽坂と谷根千をブラつくこと。

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