バレると怖いタンス預金⁉新紙幣であぶり出される日も近い?
日本人の現金好きは有名ですが、コロナ不安の影響もあってか、タンス預金の金額は100兆円を超えたといわれます。この記事では「してはいけないタンス預金」と「OKなタンス預金」の違い、メリットや問題点、税務署にバレる理由とそのペナルティ、解決策をご紹介します。新紙幣発行とマイナンバーの徹底導入が近づき、タンス預金がバレる日が近いと言われています。ぜひご一読のうえ、正しい節税対策の勉強に興味をもってみてはいかがでしょうか。
タンス預金とは?
タンス預金とは、現金を金融機関に預けず、自宅保管することです。かつては家具の箪笥の中に現金を保管することが多かったからタンス預金と呼ばれます(昭和の香りがしますね…!)。机の引き出しに現金を入れても、それもタンス預金です。
タンス預金の何がいけない?
タンス預金を持っていること自体は問題ではありません。ただ、銀行預金などと違い、外部から把握されづらい形で現金を持って「税金をごまかそう」とすれば問題となります。
NG①商売の売上をごまかす
飲食店や小売店など、現金がよく使われる商売をしている場合、売上げの一部をタンス預金にしてしまえば、見た目の利益が低く抑えられて税金が安くなるのではないか…というところがあります。
NG②相続税をごまかす
相続税などが発生する場合、銀行預金や不動産などの把握しやすい財産に比べ、タンス預金は把握しづらいのではないか…というところがあります。
タンス預金も銀行預金とおなじように財産であり、課税対象となります。たいていの場合はバレますので、申告をしない場合、節税どころか脱税になってしまい、たいへんなことになります。
タンス預金がバレるとどうなる?
タンス預金を使って税金の申告義務、納税義務に違反した場合には「延滞税」「無申告加算税」「過少申告加算税」など様々な罰金が科されますので、タンス預金でも適切に申告を行いましょう。
タンス預金のメリットは?
とはいえ、タンス預金にもメリットはあります。銀行から引き出したお金を何かのときのために手元にしばらく置いておく程度なら問題はありません。
メリット①銀行に行く手間が省ける
銀行が開いている時間は短いし、ATMがコンビニなどに普及したとはいえ、小口現金を頻繁に引き出すのは手間や手数料など、ばかになりません。1~2カ月に必要な現金程度を手元に置いておくことは必要と考えていいでしょう。
メリット②ペイオフ対策
たとえばある金融機関が破綻したとき、その預金者一人につき1000万円以内の元本と利息は保証されます。しかしそれ以上は破綻した金融機関の財務状況によっては、十分な弁済金や配当金がもらえない可能性もあります。
つまり、1200万円の預金を、「1000万円は金融機関に預け、200万円は手元に置いておく」のがペイオフ対策としては有効です。
メリット③口座凍結対策
まれに銀行口座が凍結されてしまい、お金が引き出せなくなることがあります。債務整理、相続、不正利用の嫌疑、最近では「振り込め詐欺」の引き出し阻止のため、などです。そのような場合には多少のタンス預金がないと、現金がまったくない状態で口座凍結が解除されるのを待たないといけません。
タンス預金の平均金額
とはいえ、周りの人がいくらタンス預金をしているか気になりませんか?
日本銀行が発表した資金循環統計(2021年3月17日速報)によれば、2020年12月末時点における個人(家計部門)の金融資産は1948兆円で、そのうちタンス預金(現金)は100兆円を超えたと推定されます。
つまり、国民1人当たりのタンス預金は約80万円です。
100,000,000,000,000円÷1億2630万人=79万2,000円
赤ちゃんや未成年者はタンス預金をほぼ持っていませんから、そのぶん高齢世帯や富裕層中心に高額のタンス預金を持つ世帯が相当数あるということです。
よくあるタンス預金の隠し方
テレビや雑誌、映画などでよく取り上げられる、タンス預金の隠し場所をリストアップしてみましょう。
- トイレタンクの中
- 冷蔵庫の中
- からくりタンス
- 植木鉢の土の中
- 床板の下
- 天井裏
- 額縁の裏
- 本の中
- 瓶や缶の中
- ソファの中
いろいろありますねー!うっかり捨ててしまわないように、家具などに隠すのが多いみたいですね。
しかし、「タンス預金の隠し方は?」「税務署にバレない方法がないかな?」などと真剣に調べてタンス預金をしている場合、これは脱税予備軍ですのでお勧めしません。
タンス預金がバレる4つの理由
タンス預金はかなりの確率でバレるといわれています。なぜなら、税務署は「預金口座」「昔の入出金記録」など、あらゆる財産を本人の許可なく調べられる特別な権限があるからです。ここからはタンス預金がバレる4つの理由を見ていきましょう。
①国税庁にあるKSK(国税総合管理)というシステム
国税庁にあるKSK(国税総合管理)というシステムで収入や相続した財産、過去の不動産などの売買利益などを調査することができます。
②被相続人の預金口座調査
国税庁は相続開始時に、被相続人(亡くなった人)が生前タンス預金をしていなかったかどうかチェックします。
- 銀行口座などから定期的に出金していた
- 銀行口座などから大金を出金していた
- 不自然なタイミングの現金引き出しがあった
などの場合、徹底的に調査されます。
過去にさかのぼって調べられますので、どんな隠し方をしていたとしても税務署にはたいがいバレてしまいます。
相続人の預金口座調査も!
税務署は相続税の税務調査の時に相続人(財産をもらう人)の預金口座も、本人の同意なく自由に調べることができます。
被相続人が生前タンス預金をしていて、生きいているあいだに相続人に現金を渡していたとしても、相続人がそれを自分の預金口座へ入金すると、あっという間にバレてしまいます。
バレたときには相続人がペナルティを喰らうため、たいへんな迷惑をかけることになります。
③マイナンバーが預金口座や財産などと連携
今後はマイナンバーが預金口座や財産などと連携していきますので、自治体などの行政機関が住民税など取り立てる時に、その気になれば簡単に調べられてしまうでしょう。
④新紙幣の発行による交換
新紙幣の発行によって、古い紙幣は価値を失います。交換が必要になりますので、そのときにタンス預金がバレることが想定されます。
タンス預金で税金逃れはムリ。合法的な節税を学ぼう!
「せっかく稼いだお金を税金で持っていかれるのは嫌だ!」という強い気持ちでタンス預金をしている人もいれば、なんとなく自宅にタンス預金を持っている人もいるかと思います。
結論、タンス預金はどんな隠し方をしても税務署にバレますし、ましてや節税対策とはなりません。節税対策は国から認められた方法で適切に実行するべきですが、そもそもどんな方法があるのか知らない人が多すぎるのが現状です。
節税対策の方法を知らないと損をするし、対策の方法を間違うと、残された家族に迷惑をかけることにもなりかねません。お自分と家族の財産を正しい方法で守るためには、お金の勉強が必要です。
この記事の執筆者
人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして数百名の仕事の悩みを聞いた経験を持つ。子育てを経てキャリアライターに。得意なライティング分野は、ベンチャー業界、不動産投資、外資系の働き方、子育てとキャリアなど。趣味は自転車で神楽坂と谷根千をブラつくこと。