「愛される女」になりたいあなたへ
「愛される女になる」系の読み物は、書店にもネット上にも本当にたくさんあります。ですが婚活で「愛され女系の読み物はどれぐらい役立つのか?」というと疑問です。この記事では「愛される女」を目指さないように、あえて婚活女性にアドバイスさせて頂きます。
「愛される女」はどこに?
「愛される女」って、いまどき誰ですか?
周りを見渡してみてください。「愛される女」って、同世代でいます?「モテる子」でも、「彼氏がいる子」でもなく、「愛される女」って、何?誰?
「愛される女」って言葉がどれぐらい魅力的かは、本屋さんの「愛され本」コーナーを見れば一目瞭然です。
よく売れるんでしょう、愛され本のピンク色の表紙(「ど」ピンクが多い。「ど」は毒々しいの「ど」)は、本屋さんの目立つところをつねに陣取っています。
「愛する男」はどこに?
「愛される女」本を書いている著者の方を見ると、婚活なんてずいぶん前に終えた方が多いように感じられます。
そういう「愛される女」に「愛を注いでくれた男性」というのは、現在でいえば50代、60代以上だったりするのではないでしょうか?
昭和のいちばん元気な時代に、勇ましい日本企業文化のもとで働き、女性は家にいるもの、保護してあげるもの、かわいがってあげるもの、と思っていた男性はいたんだろうと思います。そこは否定しません。
愛され本は、昔の話をしてる
1990年代半ば以降に社会に出た、氷河期世代といわれる男性にとって、「愛される女」願望は、ちょっと、というか、かなり、いや、すごく時代遅れのコンセプトです。
なんで、女が愛されなければいけないんですか?男性に幸せにしてもらわなくてはいけないんですか?男性だって大変な時代なのに。平等なパートナーシップに重くのしかかって、男性を困惑させる言葉だと思います。
自分で稼ぎ、愛し、幸せにしてあげる、ぐらいのガッツがないと、パートナーができない、そういう時代が過去20年以上にわたり続き、女性もその中でずっと生きてきたのです。
だけど、本屋さんの棚には相も変わらず、大先輩たちの書いた「愛される女」本が並んでいる…この矛盾。
婚活アドバイスは役立たない?
そもそも、婚活アドバイスというのは、あてにならない、というか、役だたないと考えておくべきでしょう。
結婚を1~2度しかしていない(もしくは結婚していない)ただの素人が、ご飯を食べながら、お茶を飲みながら、適当に口にしたアドバイスに責任をもつのは厳しいですよね。
とくに親世代ぐらいから上のかたは、生きてきた世の中、男性の考え方がぜんっぜん違いますので、驚くような的外れなことも言ったりします。愛をもってお節介してくれているので「ありがとう」とほほ笑んでスルーでいいと思います。
とくにまずいのは「私は昔モテた(今でもその気になれば…)」と自負する大先輩です。
「昔モテた」オバサンには気を付けろ!
「可愛げがないのでは?」「もっと女らしい格好をしては?」「女の幸せは子供」「男性は弱い女が好き」
こういった、不思議アドバイスは(私の経験によると)昔モテた系の大先輩からされることが多いのですが、昔と今は違うので、もう、するっとスルーしてしまっていいと思います。
彼女たちが私より優れているとすれば、それは
- 運が良かった
- 時代が良かった
- 適齢期に結婚するふんぎりがついた
の3点ではないかと思います。
結婚相談所、婚活エージェントも「結果にコミット」はしない
婚活アドバイスのプロである結婚相談所はどうでしょうか?たいていの結婚相談所は「入会金」とか「お見合い設定」で高いお金を取るけど、「結果にコミット」はしてくれないことがほとんどです。
もし「結婚出来なければ全額返金、成功報酬だけです」という、普通の人材紹介会社と同じ条件で商売している結婚相談所があれば、必死でマッチングしてくれるでしょう。だけどそんなところ、あまり聞かないですよね…。
結婚相談所や婚活エージェントは「婚活の悩みを聞き、アドバイスする」ことが付加価値で、婚活の成功自体はやはり本人次第なんですよね。
日本の結婚適齢期は相変わらず25~35歳
ここで日本の婚活の現状を見ていきましょう。恋愛はいつでもできますが、日本人が結婚しやすい時期というのは、現実的には25~35歳で、人生のうち、約10年間ぐらい。とても短いという現実があります。
厚生労働省のまとめた「平成30年版少子化社会対策白書 全体版(PDF版)」から、過去45年間の平均初婚年齢を見てみましょう。
日本の平均初婚年齢は25~30歳であることがわかります。(最近はほぼ30歳ですね!)
再婚もふくめた平均結婚年齢は30~35歳
再婚を含めると、結婚平均年齢はどう変わるのでしょうか?厚生労働省が10年に一度ぐらい発表する「婚姻に関する統計(平成28年度)」を見てみましょう。
再婚する女性の平均年齢は初婚に比べて高めとなっています。しかしそれでも、女性の平均結婚年齢が35歳より上回るのは「夫妻とも再婚」の場合のみ。婚姻全体の10%程度にとどまっています。
結婚しない理由って?
厚生労働省の発表している「平成30年版 少子化社会対策白書 全体版」の中から「独身でいる理由」というグラフを見てみましょう。
なんとなく適当な結婚相手にめぐりあわない…と思っている人がとても多く、自分のペースを変えてまで結婚するのを躊躇する「自由さや気楽さを失いたくない」「まだ必要性を感じない」が次に続きます。
結婚をしない理由は、ざっくりいうなら、結婚によるライフスタイルの大きな変化は、現代社会では仕事と同時進行させづらい、というところにありそうです。
女性も男性も、20代後半ともなれば、仕事で抜き差しならない責任を持ち始めます。なので、ライフスタイルを大きく変えたくありません。
好き、嫌いだけでなく、仕事やライフスタイルをふくめて相性がいい相手を探すのは、並大抵ではありませんよね…。
学生結婚はしづらい日本
じゃあ、仕事人生が始まる前に結婚しちゃえばいいじゃん?とも思うのですが、こんなに少子化が叫ばれても、日本では学生時代に結婚する人は少ない。なので学生結婚といえば、私の周囲でもたいてい「おめでた婚(できちゃった婚、ともいう)」がほとんど。
高校生で妊娠すれば、祝福されるより困惑されてしまう残念な現実がありますし、大学時代に妊娠すれば、だいたい1年は休学せざるえない。その後の就職にも影響します。どちらにしろ、「若すぎる(?)結婚」はあまり歓迎されないムードがあります。
だから多少もののわかった若い子は、結婚も出産もぐっと我慢する。
就職活動から入社後2~3年は結婚おあずけ
「一度は社会人になっておきなさい」というアドバイスで就職活動を始めれば、もう結婚どころじゃないし、入社すれば、だいたい2~3年は結婚はおあずけ。
そう考えると、一番結婚しやすい時期というのは、昔からずっと適齢期といわれている25~35歳の10年間ぐらいに、なりますよね…。
でも、この時期が社会人として一番学ぶのに忙しく、遊ぶのも楽しい時期なのはご存知のとおり。
どうして「愛される女」を目指すの?
「愛される女」って、ひとつの成功形みたいになってるじゃないですか。ちょっと前に流行った「港区女子」とか…。そういうのが、この男女平等のご時世で、どうして人気があるのか、考えてみましょう。
学校評価と現実社会の乖離
働く女性にとって、学生時代に享受していた「男女平等」と、社会に出てから肌身に感じる「男女不平等」は大きな問題。
教育が男女平等な現代では、共学校においても心身の成熟が早い女子のほうが、成績上位でリーダー格ということも、少なくありません。
こうした成績優秀、真面目でタスクをきちんとこなす女性が、社会に出たとたん、問答無用で男性のアシスタント業務に回される構造は、まだまだ健在です。
そもそも、正社員採用で男女1:1という会社は、まだそれほどないのではないでしょうか?採用は企業の自由といいながら、男性ばかり採用する企業が多いのは現実です。
こうしてやる気を削がれた女性が「愛される女」という古い言葉にフラッとくるのは責められません。
働く女の税金は、男性と同額なのに…!?
働く女性の税金が、働く男性より安いということはありません。男性と女性が同じ仕事を任されたら、女性だけラクしていいということもありません。建前上、女性は男性と同じ責任を果たすことが求められています。
しかし、まだ社会全体としては、働く女性が「あれ?私、男性ほど求められていない?」と感じてしまう状況はあるんですよね。そんなとき、主婦を見ると、健康保険も年金も旦那さんに払ってもらえるし…いいなぁ、あれ…って。
この女性に対する世間の二枚舌、なんとかならないかなぁ。
「愛される女」の人としての魅力
「愛される女」というのが、どうしても婚活では「男性に選んでもらう女」的な響きがあって、抵抗を感じますが、本当の意味で素敵な「愛される女」はいっぱいいます。
たとえば、自分の立場で考えると、ふつうに日常や仕事のやり取りをしていて「あぁ、この男性は見た目イケメンじゃないけど…なんか素敵だな」と思う瞬間、ありますよね。
で、私の場合ですと、だいたいそう思った男性は、みな既婚者です。しかも奥さんが素敵な人が多い。彼らの魅力は人間力です。素敵な内面の男性は、女がほっておきません。
でも反対に、「あぁ、この女性素敵だな」と思った女性が独身のことはけっこうあります。
この違いはなんなのか…明らかに同性から見たら、こっちのタイプのほうが本当の「愛される女」なんですけどね。
「愛される女」は昭和のエモいコンセプト
「愛される女」は、絶滅危惧種です。愛されないと自分の価値が確認できない子は、ちょっとまずい、と思うんです。
とくに姑息に「愛されようとする女」は、他の女子には本当に迷惑。頑張れば男性と同じだけ稼げて、一緒に人生を豊かにできるのに、愛だけに頼る必要はないんだもの。でもそういう子が昔のモテ感覚で頑張ると、なんとなく自分もやらなきゃ?と思う人、増えそうじゃないですか。
「愛される女」が流行ったのは、女性が企業から締め出されて、愛されないと(第三号被保険者「主婦」にならないと)差し支えが多い社会構造が出来ていたからといえます。
今後はみんなで「愛する女」を目指して、男性を幸せに、子供を幸せに、社会を幸せに、そして、愛されることが何より大事と生きてきた先輩たちも、幸せにしましょう。そのために、「愛される女」ではなく、「必要とされる女」を目指していきましょう!
この記事の執筆者
人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして数百名の仕事の悩みを聞いた経験を持つ。子育てを経てキャリアライターに。得意なライティング分野は、ベンチャー業界、不動産投資、外資系の働き方、子育てとキャリアなど。趣味は自転車で神楽坂と谷根千をブラつくこと。