職場の人間関係がストレス、どう解消すべき?

職場の人間関係がストレス、どう解消すべき?

職場での人間関係のストレスを軽減したり、解消するには、どのようにすればいいのでしょうか?厚生労働省の調査では、日本で働く社会人の2割近くが職場の対人関係にストレスを感じていることがわかっています。ストレスを解消するやり方と、転職したほうがいいケースを見てみましょう。

「人間関係のストレス」その正体は?

ひとことで「人間関係のストレス」と言っても、その原因はいくつかあると考えられます。3つに分けて考えてみましょう。

①いじめ、セクハラ、パワハラ

いじめ、セクハラ、パワハラ…これは言語道断の理由です。いずれも社会的に許されることではなく、公にすれば加害者側が悪いということになります。

しかし、その職場で働き続けたいと考えている場合、これらを公にすることは、今以上に職場の居心地を悪くしてしまう可能性があります。

人事部や外部の相談機関、産業医など、信頼できる第三者に手助けを依頼することが必要になってきます。

②成果追求主義でギスギス

とくに特定の人からいじめられているわけでもなく、パワハラ、セクハラというほどの事態でもないが、職場の雰囲気があっていない…というのもありうる状況です。

いじめられているほどではないが、なんとなく浮いている気がする、情報網から洩れがち、などもよくある話です。

社員同士が仕事の成果を競い合う職場などでは、誰かのミスを庇ってあげたり、まいど情報を共有してくれるほど余裕のある人はあまりいません。どうしてもお互いがギスギスしてしまいます。こういう「愛がない職場」は疲れるものです。

③一致団結や集団行動でべったり

自分の意見をなるべく出さず、集団に溶け込むことを強いられる職場もあります。意見を言っていいのは、一部の人だけ。ほかの人は同意の意思表示するだけ。

少し変わったことをすると叩かれたりするので、息をひそめて一日を過ごすような職場です。活発な意見交換や、個人行動を大切にするタイプの人にとっては、このタイプの職場も相当なストレスになるはずです。

ランチを集団で行きたがるのもこの職場に多いといえます。

職場の人間関係の改善方法

職場の人間関係を改善するために、みんなはどんな努力をしているのでしょうか?

人間関係より仕事に集中する

さらっと人間関係を流して、自分の仕事の質や能力を向上させるほうに力を入れる人は、ドロドロの感情論につかまらないぶん、勝ち組になれる可能性が高いです。

自分から気持ちよく接する

「いじめられても明るい態度や考え方」は「ポリアンナ効果」といって、いつの間にか状況を好転させるとされます。周囲からも好感が高まり、いつのまにか味方が増える作戦です。

うわさを頭から信じない

「Aさんがあなたのことを悪く言っている」「Aさんが上司に取り入っている」などの、ランチ時によく出てきそうな話題は、ほどほどに信じましょう。女性だけでなく、男性でもこの手の噂話を無責任にする人がいますが、自分を守る意味でもあまり乗っからないようにしてください。

上司や人事部など、解決力のある人に相談する

人間関係に問題のある職場は、仕事の効率が落ちる、離職率が高まるなど、経営側にとってもいいことはありません。厚生労働省なども積極的に職場のメンタルヘルスを改善しようとしていますので、解決力のある上司や人事部に相談をするのは正攻法といえます。

社内に味方をつくる

先輩でも同僚でもいいので、社内に味方を作るという意見です。ただし、表面的に同意してくれる人が、裏で何を言っているかはわかりません。こじれるとグループ対立や派閥に発展しますのでほどほどにしましょう。

思い切って転職する場合

ここまで職場の人間関係を改善するためのアドバイスをさせていただきました。しかし残念ながら、一言で言えば、職場の人間関係は簡単に変わりません。だから「職場の人間関係のストレス発散術」みたいな、「あなたの心の中でなんとか消化しちゃいなさい」という記事がネットにあふれているのです。

この世に完全なる理想の職場はありませんが、同じ能力で同じ経歴でも、働きやすい職場にいるほうが人生は何倍もラクになりますよね。

あまりに人間関係がストレスフルな職場は、離れるべきだと思います。

働くということは、究極は幸せに暮らす糧を得ることです。好きではない職場状況を改善するためにあなたが擦り減ることではありません(また、いち社員の場合は改善する力もないです)。

「転職回数が…」は気にしない!

はっきり言えば、「転職回数が多い人は採用しない」というのは、雇用する側の勝手な言い分です。今まで日本の労働市場は買い手市場が続いたため、こんな勝手な言い分が通ってきたといえます。

雇用する側にすれば、「いったん採用したら辞めない人」はコスパがいいのです。給料が多少悪くても、人間関係が良くなくても、将来の展望が見えなくても、適当に気分転換して働き続けてくれる人材が最高に決まっています。

しかし、そういう都合のいい人材を採用しておきながら、一人ひとりの幸せまで考える責任も持たないし、経営状況が悪化したりすれば、リストラをするのが会社です。自分の人生、自分できちんと決めて、動くべきときは動きましょう。

自分のやりたいこと、やれること、性格を再確認

人間関係を改善するあてもないし、転職しようかなと思った場合。まずは自分がやりたいこと、長く続けられることを考えてみましょう。そのうえで自分の性格も再確認します。

やりたいことへの道筋を考える

たとえば、製品企画がすごくやってみたい。というケース。今の職場であと何年でその仕事が出来るのか、転職し他社に行けば、それがすぐに出来るのか?

製品企画は花形ですから、生え抜きの社員が担当することが多いでしょう。そうすれば、人間関係はいまいちでも、数年間は転職しないでチャンスを待つほうがいいという結論になるかもしれません。

長く続けられることを見つける

長いこと続けられる仕事は何か、考えるのも大切です。自分が好きでない仕事は、長く続けることができません。自分にあっていない仕事もそうです。

大好き、とまでは言わなくても、この仕事なら長いことできるという仕事を考えてみましょう。

自分の性格を客観視する

大部屋でがやがやと働くのが苦にならないタイプと、パーテーションで区切られたパーソナルな空間で能率が上がるタイプ、フリーアドレスで毎日場所が違うほうがテンションが上がるタイプなど、いろいろな人がいます。

仲間と集団ランチに行くのが楽しくて仕方ないタイプと、一人でスマホでも見ながらご飯を食べたいタイプがいます。

こういう生まれ持った「居心地の良さ」の感覚は意外と大切ですので、しっかり認識しておいたほうがいいでしょう。

人間関係を感情で考えるのはやめよう

人間関係のストレスを「感情」で受け止めている間はきついと思います。しかし、意識して今の職場や自分の性格を分析し、他の職場を探すことを考え始めれば、事態は意外と変わってくるものです。

「なんとなくイヤだ」という感情論から、「ここが自分に合っていない」「次に探す仕事ではこういうところを大事にしよう」と考えられるようになれば、イヤな職場のいい面もわかるようになります。

自分が転職するのに必要なスキルを磨いたり、転職のタイミングを考えたりするうちに、少しづつ状況が良くなってしまい、いつの間にか転職する気持ちがなくなった…そんな人も多いのです。

「転職したい」は口にしないこと

ひとつだけ、気を付けて欲しいのは、本気で転職するなら、次の仕事が決まるまで、絶対に口にしないことです。今の職場での昇進や、やりがいある仕事のチャンスを自分から遠ざけることになります。

毎日の仕事は、人間関係で擦り減るためではなく、あなたの幸福な生活と未来を築くためにあります。何がベストか、ギリギリまで考えて決めるのはあなたです。

いつでもイヤな人間関係からは脱出できます。転職などの準備をしながら、感情的にならずに過ごすのが大切です。

この記事の執筆者

林 晶

林 晶

人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして数百名の仕事の悩みを聞いた経験を持つ。子育てを経てキャリアライターに。得意なライティング分野は、ベンチャー業界、不動産投資、外資系の働き方、子育てとキャリアなど。趣味は自転車で神楽坂と谷根千をブラつくこと。

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