中学受験準備はいつ始めるのが正解?小4スタートのメリット
中学受験準備を「小学4年生の4月」からスタートさせる家庭は少なくありません。中学受験は6年生の1~2月が試験シーズンですから、4年生から予備校通いするのはちょっと早いように感じる親も少なくありません。知っておきたい中学受験の特徴と、小4から予備校に通って受験準備を始めるメリットとデメリットをまとめました。
小学4年生から予備校に通うメリット
小学4年生から予備校に通うメリットは、現役受験生の親子に取材したところ、以下のようなものがあります。
3年間をかけて「勉強する癖」「机に向かう癖」がつく
小学4年生といえば10歳前後、小学6年生でも12歳前後です。この年齢の子供で「自発的に勉強をしたくてたまらない」という子供は、ほぼいないといっていいでしょう。
塾に通って、家でも塾の課題をこなせば、とりあえずは「勉強する癖」「机に向かう癖」をつけることにつながります。
30分と机に向かえなかった子供が、受験を終える頃には1時間、2時間といった長い時間、自発的に勉強できることも少なくありません。
ほとんど自習できない子も、週10時間以上勉強する
中学受験予備校は「週3日×3時間程度」のカリキュラムを組んでいることが多いようです。このため、自習をしたがらない子供でも、予備校に欠かさず通えば、
- 週10時間
- 月に40時間
- 1年間で約300時間
など、かなりのまとまった時間をムリなく勉強することになります。
中学受験の学習範囲をムリなく網羅できる
中学受験で必要となる学習範囲は、小学校で習わないことも多い、という現実があります。小学校6年生の終わりまで真面目に小学校に通っても、中学受験で必要となるすべての知識が身につくわけではないのです。
このため、中学受験予備校では、受験に必要となる知識を4年生からの3年間で無理なく網羅できるようなカリキュラムを組んでいます。中学受験をするなら4年生から、といわれるのはこのためです。
私立中学校の校風、生活ぶり、出題傾向を教えてもらえる
私立中学校の校風や生活ぶりは、外部からはほとんどわかりません。個人で学校を訪ねて行こうとしても、近年はセキュリティの面から、限られた数日(学園祭、学校見学日)以外は入れてもらえないでしょう。
きちんとした中学受験予備校はほとんどの私立中学校と緊密な連携を取っており、
- 予備校生徒だけの学校見学ツアー
- 中学校内開放イベント(私立中学が模擬試験会場として開放され、簡単な学校説明会が催される)
- 学校経営陣との保護者座談会
- 志望校に入学した元塾生の体験談を聞く会
などが頻繁に催されます。
私立中学校に関する予備校の情報力は圧倒的
誰もが知っている難関校だけでなく、注目の新設校や特色ある教育方針の学校、子供の気質にあった校風などを勧めてくれたりするのも魅力です。予備校講師の私立中学校を選ぶ目にはプロならでは見識もあり、親が頑張っても、簡単に真似できるものではないかもしれません。
予備校は試験の出題傾向も熟知している
予備校では幅広い私立中学校の過去10年程度の試験内容を把握しています。このため、各中学校の特徴と同時に、試験の出題傾向を熟知しているのです。当然その対策も知っているため、味方につければこれ以上の近道はありません。
小学4年生から予備校に通うデメリット
小学4年生から予備校に通うのは、小学校生活の後半3年間の放課後と休日のほとんどを中学受験に捧げることです。とうぜん、デメリットと感じられることもあります。
友達関係が変化する
週に3日程度予備校に通うようになると、中学受験をしない友達や、別の予備校を選んだ友達との放課後の時間は減ってしまいます。
非受験組とスケジュールがあわない
予備校がお休みの曜日でも、何となく友達とスケジュールがあわなくなることもあるようです。受験をしない子たちは毎日のように同じグループで集まって遊んでいますから、なんとなくその輪から外れてしまうこともあるでしょう。
同じ予備校に通う友達が「同志」に
しかし友達がいなくなるわけではありません。子どもにとって、予備校は「受験の同志」を作れるところです。同じ予備校に通う友達と過ごす時間を楽しみにしている子供もたくさんいます。
家族旅行に行けなくなる
GWやシルバーウィーク、夏休み、冬休みなど、長期休暇はまとまった長さの家族旅行に行きたい家族にとっては、受験生生活は、かなりつらいものといえます。ほとんどの長期休暇に「合宿」「特訓」が入ってくるからです。
「6年生の夏休みも予備校合宿を休んで海外旅行に行った」という猛者もいるようですが、かなりの受験生家族は6年生になると家族旅行を我慢するようです。そのぶんの費用を予備校の授業料や受験費用にまわすのが賢明な判断だと考える親も少なくありません。
お稽古事をやめなくてはいけない
ピアノやスイミングなど、子供が楽しく取り組んでおり、将来の教養や健康のために役立つお稽古事。ちょうど4年生ぐらいになると大会や発表会でも成果が出てきて、親子ともに嬉しい時期です。
しかし、中学受験をする家庭では、予備校に通うためにお稽古事をやめさせてしまうことも多いようです。
子どもの体力で予備校通いとお稽古の両立は難しい
10歳前後の小学生が放課後を予備校通学と課題学習に使うようになると、お稽古事を続けられる気力と体力がなくなる子供も出てきます。子供に無理をさせたくない、という愛情からお稽古事をやめさせる親は多いようです。
中高一貫校に入ってから再開?
中学受験に成功し、中高一貫校などに入学しますと、高校受験がなくなります。お稽古事は中学入学後に再開しよう、と約束する親子もいるようです。
予備校費用が丸3年分かかる
「小学6年生の夏期講習と冬期講習だけで難関志望校に受かった」という、伝説のような話もありますが、じっさいのところ、そんなケースはまれです。かなりの子供は4年生から6年生までの丸3年間、遅くとも5年生から6年生までの2年間を中学受験予備校に通います。
中学受験予備校では、各校の出題傾向や受験勉強のペースを知り尽くしたプロが指導してくれますので、独習より圧倒的に効率が良く、親もラクだといえるでしょう。その分、と言ってはなんですが、予備校に丸3年間通う総費用はかなりの金額です。家計にはかなりの負担となります。
予備校に通わなくても合格できる?
予備校に通わなくても合格できるのでは…と考えている場合、知っておいて欲しいのは、公立小学校の学習範囲と私立中学校の入試出題範囲は同じではないので、10歳前後の子供に「自習して難関中学に合格しろ」というのほぼ「ムリ」ということです。
予備校に通うのが難しければ、きちんとしたカリキュラムの通信教育を探して受講させるなど、公立小学校で学ぶ範囲外を網羅した学習方法を探し、親が指導する覚悟が必要です。
小学校4年生の受験準備は「親子の話し合い」から
小学4年生から中学受験準備を始めれば、たっぷりと時間をかけられるぶん、ムリなく合格できる可能性は高まります。とはいえ、中学受験をするのは、あくまで小学生本人です。親の考えを押し付けず、よく話し合って、まずは前向きな心構えになってもらいましょう。
「受験しなくてもいい!したくない!」と言い張っていた子供が、憧れの志望校に合格したり、塾の仲間と励ましあって絆を深めたというケースもあります。本人の気持ちが固まるのも待ってあげましょう。
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